日本は目立つため、海外は「ひとつになるため」に歌う 木下 桜子(key)
- メグデス事務局
- 1月28日
- 読了時間: 4分
■■ 9thアルバム「パーフェクト・セックス」楽曲解説「Amen」
本曲「Amen」は、K-POPをイメージして制作されたJ-POPです。
「Amen」はキリスト教の祈りの言葉、「アーメン」ですが、英語の発音だと「エイメン」になるみたいですね。
K-POPはまぎれもなくJ-POP、特にジャニーズやavex系統から派生した音楽です。
しかし、色々なところが違います。
皆さんは、どこが違うと思いますか?
◇ ◆ K-POPの特徴
K-POPの最大の特徴は、和声の美しさです。とにかく美しい。
K-POPは、複数の作曲家でトラックを制作したりもします。
二人の作曲家が一緒に曲を制作するとどうなるか?
作家性が低くなり、より「客観的な仕上がりになる」ということですね。
裏を返すと「個性がなくなる」ということです。
K-POPは、販売地域によって楽曲やアレンジを変えたりもします。
日本で販売するときは、「日本大好き!」と言って、日本語で歌ったりしますよね。
しかし、韓国で歌うときは「日本なんてくそくらえ!」と言って、韓国で歌ったりします。
アメリカで歌うときは、ヒップホップを歌います。
「ローカライズ」するんです。
売るためなら、なんでもやるのが韓国流。
◇ ◆ J-POPの特徴
J-POPの最大の特徴は、和声の汚さです(笑)。とにかく汚い。
これはもう、日本音楽の最大の特徴ですね。
ハーモニーを重要視しない。
和太鼓、尺八、横笛、法螺…
日本にはたくさん楽器があるのですが、ハーモニーをあまり意識しない。
「賑やかして、テンションをあげる」というのが、日本式の音楽。
ジャズでは、オーネット・コールマンが「調性」を無視して、リズムだけで演奏します。
これがちょうど、日本の「お祭り」の音楽との類似性が指摘されています。
(私が大学でそう習った)
また、日本は本当に「個性、作家性」を重視する。
小室哲哉の小室サウンド、つんくのモーニング娘。浜崎あゆみ。
聴いた瞬間に「コイツらだ!」と、ハッキリわかる音楽が日本では好まれやすい。
ローカライズもしませんね。宇多田ヒカルがアメリカで販売する際に、英語にローカライズしたけれど、成功はしていない。
ローカライズすると、『日本の音楽の面白さ』が、急激にしぼんでしまうんですよね。
エヴリリトルシングの楽曲を、海外のスタジオミュージシャンがカバーしたアルバムなんかもあるんですけど。品質は高いけれど、なんかピンと来なくなってしまう。
◇ ◆ 日本は目立つため、海外は「ひとつになるため」に歌う
日本人が音楽をやるのは『目立つため』ですよね。
バンドをやるときも、カラオケを歌うときも、とにかく『目立ちたい』。
目立ちたい場合は、音をハズしたほうが目立つんです。
ところが、海外では「ひとつになるため」に音楽がある。
アメリカの、黒人音楽のゴスペル、教会音楽は、まさに「ひとつになるため」の音楽です。
バンドで演奏するときも、とにかく一体感が重要視されます。
K-POPはもう、完全に、マリオネットですよね。
ステージ上では、完全に一体になるので、誰がだれだかわからない。
勿論、日本でも『安全地帯』のようにハーモニーを重視するバンドもあるし、
韓国にも、めちゃくちゃなスラッシュメタルみたいなのもあるわけですけど。
大方の傾向としては、日本と韓国は、同じ音楽で、同じ系統の音でも、目指しているものがまるで違う。
◇ ◆ 「Amen」は日本的なアクの強さと、K-POP的なハーモニーの美しさ
本曲「Amen」は邦楽のような「個性の強さ」と、K-POP的な「ハーモニーの美しさ」を、美味しいとこどりしようと試みたものです。
ヘビーメタルは、比較的、そういう概念なんですよね。「ハーモニーの美しさと個性」を共存させる。
ドッケンなどLAメタルは、そんな感じですね。
本曲はメタルではないんですけど、メタルの「魂」を継承した「J-POP&K-POP」と言えるかもしれないですね。
ベースは、ちょっとスラップをやったりして、「ロック」なルーズな響きを出しています。
また、ギターも、カッティングでうるさくノイズを出したり、マイケル・シェンカーのような属人性の高い、ブルージーなギターソロを弾いています。
本曲は、色々な狙いが、ピタッとハマった一曲だと思います。
とはいえ、この路線でずっとやるかというと、それはないなとも思います。
やっぱり、おいしいとこどりをしているから、日本的なアクの強さもないし、韓国的な徹底した美しさもないので、中途半端な部分もあるかなというのが見えた課題。
本曲を収録した9th「パーフェクト・セックス」は、「パーフェクトな音楽とは何か?」というのを、色々な方向性から実験した曲です。
結論としては「ない」んですよ。
結局、さじ加減でバランスをとるしかない。
じゃあ、どのあたりのバランスが心地よいのか。そんなことを考えながら、本アルバム「パーフェクト・セックス」を聴いていただけると楽しいかもしれません。
ポップス、ブルース、メタル、吹奏楽、色々なことにチャレンジしています。
以上
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